新潟県湯沢町にある瑞祥庵に、ふらりと立ち寄ってみました。
秋の訪れを感じるホタルの里周辺は、紅葉が色鮮やかに輝いていて、冬の足音が聞こえてくるようでした。
寒々とした景色に心を奪われながら歩いていると、「瑞祥庵」というお寺を見つけました。
夏にこの地を訪れたときは、観光案内板も立っていたのですが、特に気にもせず素通りしてしまったんですよね。
今回改めて訪れてみると、なんと越後のミケランジェロと呼ばれる石川雲蝶の彫刻があるというではありませんか!
石川雲蝶は、幕末から明治初期にかけて越後国で活躍した彫工です。
寺院などに色鮮やかで躍動感溢れる木製彫刻を多く残し、絵画を含めた作品は1000点以上が現存しているという、まさに天才彫刻家と言えるでしょう。
そんな雲蝶の作品の一つが、この瑞祥庵にある金剛力士像(仁王像)です。
阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)の一対で、寺院の門を守る存在として安置されています。
一般的な仁王像とは異なり、どこか愛嬌のある表情で、思わず親しみを感じてしまいます。迫力はありながらも、どこかユーモラスな雰囲気も漂っていて、見ていて飽きません。
雲蝶が細部までこだわって表現した筋肉や衣の質感、そして躍動感あふれるポーズは、まさに圧巻です。
鮮やかな色彩も美しく、まるで絵画を見ているような感覚で、じっくりと鑑賞することができます。
秋の紅葉に彩られた美しい景色と、石川雲蝶の迫力満点かつ愛らしい仁王像という、まさに非日常を味わえる体験でした。
湯沢を訪れた際には、ぜひ瑞祥庵に立ち寄ってみてはいかがでしょうか? きっと、あなたも石川雲蝶の芸術性に圧倒されることでしょう。
瑞祥庵に行ってきた(新潟県湯沢町)
秋のホタルの里周辺は紅葉が綺麗でした!
迫力の……というより
なんだかとっても愛嬌のある「金剛力士像(仁王像)」でした。
瑞祥庵の仁王像は、迫力の阿形と吽形、そしてユーモラスな邪鬼が魅力
瑞祥庵の楼門に安置されている石川雲蝶作の仁王像は、力強さ、ユーモア、そして鮮やかな色彩が魅力的な作品です。
推定制作年代
制作年代は明らかではありませんが、楼門再建の弘化4年(1847年)から数年後、安政時代以降と考えられています。
阿形と吽形
阿形像は、力強い目と大きく開いた口で、今にも「あ!」と叫びそうな迫力があります。邪鬼を踏みつける足は、まるで手の指のように長く伸びています。
一方、吽形像は「ん!」と口を真一文字に結び、大きく反り返った左手が印象的です。
ユーモラスな邪鬼
吽形像に踏みつけられる邪鬼は、どこか切ないような、ユニークな表情をしています。
次は足元の写真も撮ってくる!
鮮やかな色彩
像全体は、赤、青、緑、金などの鮮やかな色彩で彩られています。この彩色は、昭和4年(1929年)に小千谷の仏師によって修理された際に施されたものです。
雲蝶が本来どのような色使いをしていたのか想像しながら鑑賞するのもおすすめです。
瑞祥庵周辺
瑞祥庵は緑豊かな環境に囲まれており、楼門をくぐると涼しさを感じることができます。
近くには湯沢中里ホタルの里もあり、時期になるとホタルの幻想的な光を楽しむこともできます。
石川雲蝶作品巡り
雲蝶の作品は、越後各地、特に魚沼地域に多く残されています。瑞祥庵の仁王像をきっかけに、ぜひ他の作品も巡ってみてはいかがでしょうか。