「九尾の狐」は那須高原に伝わる伝説で妖怪として知られていますが、元々は平和な時代に幸運をもたらす瑞獣として崇められていました。
今回、地元の食材を使った九尾の狐弁当が発売になったことで、知っているようで知らない那須の九尾の狐伝説に興味が湧き調べてみました。
また九尾の狐弁当の内容についてもご紹介します。
九尾の狐伝説とは
「九尾の狐」は中国神話のルーツから日本の漫画やゲームにおけるポピュラーな存在まであらゆるところで登場する魅力的なキャラクターです。
日本の漫画やゲームにおいても、九尾の狐は魅力的なモチーフとして頻繁に登場します。
- 「うしおととら」（藤田和日郎）:
この漫画では、主人公・うしおと彼の仲間たちが九尾の狐である白面の者を倒す物語が展開されます。九尾の狐は強力な敵として描かれ、戦いの中で様々なドラマが織り成されます。 - 「陰陽師」（安倍晴明、藤原定信）
平安時代の陰陽師・安倍晴明が九尾の狐である玉藻前を退治する物語です。九尾の狐は陰陽師との対決を通じて日本の霊的な世界観と結びつきます。 - 「NARUTO -ナルト-」（岸本斉史）
この作品では、九尾の狐のチャクラを封印された少年・うずまきナルトが主人公として登場します。九尾の狐の存在は、物語全体において重要な要素として影響を及ぼします。
九尾の狐の魅力は、その神秘的な性格や不死の性質から生まれるさまざまなドラマや展開にあります。日本の文化においても長い歴史を持つこの妖怪は、多くの作品で人気を集めています。
妖怪ではなく神獣だった九尾の狐
九尾の狐に関する伝説は時代や文化によっても変遷しています。
中国の伝説において九尾の狐は時の皇帝の徳が良いことを示す瑞獣の一つとしても記されています。また数字の「九」は子孫繁栄を象徴するものとされ、九尾の狐は陽数を持った瑞兆を表す霊獣とされています。
日本では『延喜式』の治部省式祥瑞条にも「九尾狐」に関する記載があり、そこには神聖な存在として描写されています。
神獣であった九尾の狐が邪悪な妖怪になったのがｍ平安時代に鳥羽上皇に仕えた美女・玉藻前の物語です。
彼女が実は「狐」であったという話は、14世紀に成立した『神明鏡』に既に見られます。ただし室町時代の『玉藻物語』などでは玉藻前は2本の尾を持つ7尺の狐として描写され、九尾の狐とは関連付けられていませんでした。
九尾の狐が玉藻前と結びつくようになった背後には、江戸時代以降に成立した物語や伝承が影響しており、殷王朝の美女・妲己が九尾狐であるという物語が、玉藻前の伝説に取り入れられるようになったと考えられています。
このように、九尾の狐の伝説は多くのバリエーションが存在し、時代や地域によって異なる解釈や物語が広まっています。
那須高原の九尾の狐とは
那須高原の九尾の狐伝説は、美しい女性の姿に化身した金毛九尾の妖狐に関する物語で、インドや中国での悪事を犯し日本に逃れてきた妖狐。
この妖狐は日本に来た後、玉藻前という名の優雅な宮廷婦人に変身し鳥羽上皇の宮廷に仕えました。妖狐は上皇の寵愛を受けましたが、陰陽師によってその正体が明らかにされ、那須に逃げ込むことを余儀なくされました。
そこで、長い戦いの末、上皇の軍に討伐されましたが、妖狐は巨石に変身し邪気と有害なガスを放ち続けました。
数世紀後、那須に訪れた僧侶の源翁和尚は石の呪いを解こうとし、大きな金槌を振り下ろして石を3つに打ち砕きました。
そのうちの1つの石片は会津にもう1つは備前に飛んでいき、最後の1つは那須に残りました。
以来、九尾の狐の魂を鎮めるために毎年5月に「御神火祭」と呼ばれる夜の儀式が行われています。
この儀式では、たいまつを持った参加者たちが那須温泉神社から殺生石へと向かい、金毛の狐の面をつけた太鼓奏者が焚き火の前で太鼓を叩きます。
この九尾の狐の物語は能楽や歌舞伎などの日本の伝統芸能でも上演され、多くの人々に知られています。
そして古代から現代まで語り継がれてきた、那須高原の貴重な文化的遺産の一部となっています。
2022年に殺生石が割れた出来事は、地元では非常に重要な出来事と受け止められ、その意義を考えるために那須町観光協会による慰霊祭と平和祈願祭が行われました。
この出来事について伝説にはさまざまな説があるものの、600年以上にわたり鎮座していた石が割れたことは、自然現象としての偶然だけでなく、何らかの深い意味を持っているのではないかという考えがあります。
九尾の狐は悪さをする妖怪として知られていますが神獣や瑞獣として神聖視されているので、殺生石の割れた出来事は、混迷や不穏な状況が続く現代社会において、何らかの新たな可能性や希望を象徴しているのかもしれません。
九尾の狐弁当
那須高原バルが誇る新たな美味しい体験、それが「九尾の狐弁当」です。この特別な弁当は、那須高原の自然と文化に根付いた美食の代表です。新たな美食体験の幕開けは、10月7日に新発売となります。
「九尾の狐」は、那須高原に伝わる伝説の一部。妖怪として広く知られていますが、その起源は平和な時代に現れる瑞獣とされています。
この弁当は瑞獣である九尾の狐への供え物をイメージし、地元の特産品をふんだんに使用しています。
中身は多彩で、那須高原バルならではの食材が華やかに詰め込まれており、那須産のもち米を使用したおこわ稲荷、那須産コシヒカリのきのこ佃煮のせ、栃木県産小麦イワイノダイチのうどん、栃木県星種豚場の豚肉を使用したソーセージカツ、那須高原和牛のハンバーグ、那須鶏の唐揚げ、那須御養卵の卵焼き、そして那須産（栃木県産）野菜のかき揚げと香の物が、豊かな味わいを楽しむことができます。
「九尾の狐弁当」は、地元の食材を活かした美味しい料理の祭典であり、那須高原の自然や文化を感じながら食事を楽しむ絶好の機会です。この特別な弁当を味わいながら、那須高原の魅力に触れ、伝説の九尾の狐に思いを馳せてみてください。
詳細ページ https://nasukogen-bar.com/
那須高原の九尾の狐伝説とは？栃木那須の文化を感じるご当地グルメ「九尾の狐弁当」まとめ
那須高原に伝わる「九尾の狐伝説」は、地域の貴重な文化の一部です。
この伝説によれば美しい女性の姿に変身する九尾の妖狐が日本に逃れ、鳥羽上皇の宮廷に仕えました。しかし正体が陰陽師に暴かれ那須に逃げ込んだといいます。長い闘いの末、妖狐は討伐され、石に姿を変えて邪気を放ちました。数世紀後、源翁和尚が石を打ち砕いて鎮めました。
「九尾の狐弁当」は、この伝説にインスパイアされ、那須高原の地元食材を使用したご当地グルメです。もち米やコシヒカリ、地元の野菜、和牛、鶏肉などが豪華に盛り込まれています。
